禅フォトギャラリーは、8月6日(土)から8月17日(水)まで、架菜梨案の絵画作品展「à la recherche d'un point de contact」(和訳:繋がる場所を探して)を開催します。禅フォトギャラリーでの6度目の個展となる本展では、色鉛筆を用いた油画のほか、彼女が本年より取り組んでいる銅版画へ彩色を施した作品を含め、約30点の新作を紹介します。

繋がるように、形を合わせて!その形とその形
“合わせる”という行為。
社会に合わせる、人に合わせる、環境に合わせる。
“すり合わせる” 歩調を合わせる、タイミングを合わせる、時間を合わせる。
何かと合致させるという行為。
調和したり、世界が広くなったり、強くなったり。
何かを確認できたり。

ー架菜梨案

架菜梨案の描く世界は、自身のまわりに溢れるように存在する「愛」のあらわれだと彼女は言います。架菜梨案は選択した様々なモチーフを、油絵の具を塗ったキャンバスの上に色鉛筆で引っ掻くように描いてゆきます。交わる男と女、女と女、男と女と男、フルーツ、ケーキ、愛らしい小動物や生い茂る植物など、オーガニックなモチーフが、ときに重なりながら、ときに繋がるようにして、遊園地のような、ワンダーランドのような、はたまた天上界のような「ひとつの世界」に生を得ています。

これまで架菜梨案は、作品をいくつかのパーツ=キャンバスに分けて制作し、それらを合わせてひとつの作品とすることがありましたが、今回展示される作品は、空白をつくることにより作品が別のキャンバス=画面・環境に繋がるという考えのもと、個々のパーツを離して制作されています。同様に、キャンバス上に見られる空白は、事物同士の繋がりを示唆しています。事物を「合わせる」ことで新たな関係性が生まれ、より「強い」世界へと変化する。何かを「何かに合わせる」ことによって、ひとつの世界に広がりがもたらされるー架菜梨案の描く新たな世界を是非ご高覧ください。

Artist Profile

架菜梨案

1987年大阪府生まれ。多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻を2011年に卒業。2014年に渡仏、パリのBeaux-Arts de Paris 修士課程へ進み、2017年に修了した。パリ国際芸術都市(Cité internationale des Arts)やマルセイユのCabane Georginaなどにレジデンス後、2020年に完全帰国した。国内外で精力的に展覧会を開催している。Zen Foto Galleryでは2011年8月の個展から始まり、毎夏の個展が恒例となって今年13回目を迎える。