橋本自身の言葉がとても明確で上品に表現されているので、私が付け加えることはほとんどありませんが。

無慈悲な時間というものに初めて思いを馳せたとき、もしかすると悲しい気持ちになるかもしれません。

この地球上での私たちの命は確かに非常に短いです。

たとえ愛が生きる上で最も重要なものだとしても、結局いつかは色褪せ、忘れられるでしょう。

それでも、常に流れ続け、カメラのシャッターでさえ捕らえきることができないこの”瞬間”というものは、まさに生きているかのようで心を奪われます。

私が橋本の写真に感じるのは悲しさではなく、常にそこにある(はずの)、でも今にも消えてしまいそうな危うい存在の美しさです。

ラフマニノフの『交響曲第2番』やリヒャルト・シュトラウスの『ナクソス島のアリアドネ』を聞いた時の感動に似た美しさ。

なによりも至福の瞬間です。

ーマーク・ピアソン(禅フォトギャラリー)

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