国内外で精力的に活動する写真家広瀬耕平。初の作品集となる本作は、眼前に広がる都市、日常にある潜在的な無意識や実態を引き出そうと試みたモノクロームのシリーズ。

「2000年に近い頃か、東京へと流れ着いた。いつ上京したかも記憶が薄れてしまっているくらい、あの頃のことを忘れたかったのかもしれない。それから私はいくつかの仕事をしながら、時間を見つけては東京の街を、時には日本中を巡り、野宿をしながら写真を撮り続けていた。自分のことを知らない人と関わり、新しい自分を一から作りたかったのだろうが、気がつけば世の中も、自分自身さえも突き放していた。なぜ人は生き、なぜ人は存在するのか、今となっては考える必要のないことすら考えていた時期もある。ただ、カメラを通して世の中を客観視できるようになって、様々なことを受け入れることができた。

振り返ってみると、わずかばかりの人生を歩んできただけなのに、多少の知識や煩悩によって物事を表面的に判断したり、都合良くとらえていることに気づかされる。目の前のことを視ているつもりが、視られていると気づいた時、一切皆空の世のすべてを受け入れ、知らずに目を背けていた本来あるべき姿、実体なき実体が眼前に広がるだろう。」(作者あとがきより)

― 出版社説明文より

判型
258 x 190 mm
頁数
160頁、作品79点
製本
ソフトカバー、ケース
発行日
2018
言語
日本語、英語
エディション
700
ISBN
978-4-905453-60-4

Artist Profile

広瀬耕平

1978年、千葉県生まれ。現在、東京都在住。2014年よりTOTEM POLE PHOTO GALLERY(東京・新宿)メンバーとして運営に携わる。国内外で写真展多数開催。作品はサンフランシスコ近代美術館に収蔵されている。

Gallery Exhibitions