禅フォトギャラリーは、5月24日(金)から6月15日(土)まで、須田一政 追悼写真展「Issei Suda: A Personal Retrospective」を開催いたします。昨年禅フォトギャラリーより刊行した須田一政写真集『網膜直結指先目カメラ』の作品展を当初予定しており準備を進めておりましたが、本年3月7日に須田一政氏が惜しくも逝去されました。これまで禅フォトギャラリーにおいて多くの作品を発表していただいた須田氏への追悼の意を込め、禅フォトが写真集を制作した「網膜直結指先目カメラ」「釜ヶ崎」「わが東京100」「恐山へ」や、ギャラリー・オーナーのマーク・ピアソン所蔵のコレクションより「風姿花伝」「天井桟敷」「ALBUM」「浮雲」「CUT」など、なかなか目にすることが難しい初期作品から近作まで選りすぐりの作品を選定し、回顧展形式で展示することにいたしました。この展覧会を通して作品を観る側と観せる側がともに須田氏の多彩な業績を個人の視点で振り返り、それぞれが偉大な写真家への思いを新たにできることを願っています。

「なぜ私は須田の写真にこれほど惹かれるのでしょう?おそらく彼の作品が単純明快だからかもしれません。須田は写真の本質だけ、必要最小限の要素を残すことができるのです。被写体が人間の場合、須田は男、女、子ども、それぞれの最も純粋な一面を見せてくれます。動物の場合、山羊や猫や蛇でも、彼らの真の一面を見せてくれるのです。動かないものの場合、茂みが柵を超えて生えているところや、窓の中で光っている包丁など、すべて完璧かつシンプルな構図でできていて、神秘的な本質は一切邪魔されないような写真になります。これまで須田と一緒に作った写真集や彼の他の写真集を見ても、すべての作品には無駄な要素が一切存在していないのです。 須田はコレクター、ギャラリスト、出版社と写真家志望者としての私に長年影響を与えてくれました。彼の作品は、コレクターを始めてから一番最初の、かつ重要な私のコレクションになりましたし、今年2019年に収集した彼の作品もとても重要な私のコレクションになりました。これまで須田の写真集を5冊出版させてもらいましたが、今後も彼の作品を世界にさらに伝えていきたいと思っています。須田と知り合えた私はとても幸運でした。彼があちらの世で旅を続けていることを祈っています。」

ーマーク・ピアソン(禅フォトギャラリー)


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Artist Profile

須田一政

1940年東京生まれ。1967年から1970年まで寺山修司が主催した劇団天井桟敷の専属カメラマンとして活躍した。1997年に写真集「人間の記憶」で第16回土門拳賞を受賞した。主な著作は「風姿花伝」、「わが東京100」、「人間の記憶」、「民謡山河」など。

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