サイン入りプリント、特装ケース付

エディション30(イメージ6種、各エディション5)
ピエゾグラフィープリント(作家サイン入り)
ペーパーサイズ:155 x 155 mm、イメージサイズ:150 x 150 mm**

一九九三年の秋、ジェレミー・スティグターは写真家・植田正治氏を訪ね、氏が人々に忘れがたいほどの印象を焼き付けた《砂丘》という場所で、彼の写真を撮らせて頂きたい、という旨の内容に幾つかの質問を添えた日本語の挨拶状を渡した。

植田氏はジェレミーの質問に対し丁寧に手書きで応対した上で、少し話をした後に彼の友人の運転で砂丘へと向かった。砂丘に行ってみると風が強く、小さな折りたたみ傘は氏の周りをバタバタと飛び回る黒い鳥のようになってしまった。勇壮な植田氏は命がけで傘にしがみつきながら、風に負けぬよう、砂丘を登ったり降りたりしていた。

「ある意味、彼が創りだした画を、自分自身で演じるよう依頼され、その中で、身体を大いに動かしたこの《運動》を、彼は楽しんでいたように私の目には映った。というより、このような運動をさせてしまった私としては、彼の砂丘での陽気な姿は、彼が私同様に楽しんでいたことの表れであると思いたい。残念なことに、この撮影を実現させてくれた植田氏自身にその時の写真をお見せする機会はなかった。二〇〇〇年七月、植田氏の訃報を知り、その時の彼との共同作業で生まれた作品が私の記憶に蘇った。私は、二十世紀写真芸術の最高の表現者のひとりである植田正治という人物にオマージュを捧げるべく、あの秋の日の写真の展示会を開催し、そして「植田正治の記憶」として、写真集という形にしようと決めた。」
— ジェレミー・スティグター

― 出版社説明文より

-判型
204 × 170 mm
-頁数
136頁、掲載作品:56点
-製本
ソフトカバー、ケース
-発行年
2021
-言語
英語、日本語
-エディション
5

Artist Profile

ジェレミー・スティグター

1958年、オランダ・ハーグ生まれ、現在フランス・パリ在住。1986年に東京でエド・ファン・デア・エルスケンと出会ったことにより写真を始める。90年代から精力的に作品を発表し始め、93年には東京・日本橋にあったツァイト・フォト・サロンにて個展を開催。その際にオーナーの石原悦郎氏に植田正治氏を紹介され、「植田氏を訪ねて」制作の発端となった。2005年、ローマ国立近代美術館にて個展「Hito Bito」を開催、また2009年にNazraeli Pressより写真集『The Jewish Bride』を出版するなど、社会的ドキュメンタリーが物語と心理学に出会う場としての写真の世界を開拓してきた。

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